傷病手当金
 

傷病手当金 「 うつ病の休職中の給付 」

休業中の給付として、一定の条件を満たすことで、傷病手当金を1年6ヶ月までの間、受けることが出来ます。市区町村が実施することも可能ですが、実施している所はないと思われます。基本的に傷病手当金の制度は、会社に勤めている人のための制度となり、給付は加入している健康保険組合等が行います。
 
うつ病は、意欲の低下する病気のため、 傷病手当金の申請自体、どうでもよくなってしまうこともありますが、すぐに退職するのではなく、ひとまずこの給付を受け取り、その間に今後のことを考えて行きましょう。

うつ病で休業中に傷病手当金を受ける 

 
 

 傷病手当金の概要

 
うつ病などで休業した場合、有休を使って休めば、その間は給料が全額支払われますが、有休もいつまでもあるわけではありません。それでも休まないといけない場合は、収入がなくなり生活できなくなってしまいます。
 
そのため、その間の生活保障として、加入している健康保険組合等が、休んでいる間、通常の報酬の約7割近くの金額を支給してくれます。これが傷病手当金です。このお金は非課税となりお得です。なお、傷病手当金は、パートやアルバイト等の非正規雇用であっても、健康保険に加入している場合は、対象となり得ます。
 
 

 傷病手当金の支給金額

 
うつ病等で仕事が出来ず休んだ日、1日につき、標準報酬日額の3分の2(66.7%)の金額が支給されます。標準報酬日額とは、傷病手当金等の額を計算する上でのもとになるものです。
 
平成28年4月1日以降に決められた傷病手当金の額は、同じ保険者(健康保険組合等)に入っている限り、標準報酬月額が変更されても、傷病手当金の額は変更されません。
 
 

 支給される期間

 
支給を始めた日から1年6ヶ月まで受給が可能です。ここでいう1年半の期間は、実際に傷病手当金を受け取った期間ではなく、暦の上での期間です。例えば、うつ病で3ヶ月受給し、その後1ヶ月仕事をして、うつ病が悪化してまた受給しようとした場合、実際に受け取ったのは3ヶ月ですが、暦の上ではすでに4ヶ月経過しているため、残りの受け取れる期間は、1年2ヶ月となります。
 
ただ、同じ病気であれば、その状態が悪くなり労務不能になった時、1年6ヶ月の期間中は何度でも受け取ることができます。傷病手当金の受給は1年半までですが、その後も仕事が出来ない状態であれば、障害年金の受給が可能な場合があります。
 
 

 傷病手当金の受給要件

 
傷病手当金を受け取る為には、以下の要件をすべて満たすことが必要です。
 
 

1.私傷病による療養のため仕事が出来ない

私傷病とは、病気や怪我のうち、仕事が原因ではないものを言います。また、療養とは、入院でなくとも、自宅療養も含まれますが、医療機関にかかって医師のもとで治療を受けていることが必要です。
 
 

2.労務不能の日が継続して3日間ある(これを待期期間と呼びます)

この3日間には、もともとの休みも含まれますが、3日間連続して休んでいることが必要です。早退した場合は、その日から3日間とカウントします。この3日間は、待期期間と言い、この期間については傷病手当金の支給はされず、4日目から支給されます。労務不能であったという証明は医師が行うため、基本的には診察を受けた日が初日の1日になることが多いです。その意味でも早めの受診が大切です。
 
 

3.待期期間の後にも仕事に行けず、その間の報酬がない

労務不能であっても、その休みを有休で消化している場合は、その間は給料が全額出ているため、傷病手当金は支給されません。有休ではなく、報酬の発生しない休みになった際に支給が可能となります。
 
 

4.健康保険(健康保険組合等)の被保険者であること。

健康保険の本人のみの給付であるため、扶養している者には、支給されません。
 

傷病手当金の申請は、基本的に申請書の提出のみですが、月の診察回数が少ない場合や、本人と医師との間で、申請期間が違っていた場合などに保険者から「日常生活・療養状況申立書」の提出を求められることがあります。もしこれが届いたら、ありのままの事実を正確に記載して提出して下さい。

 
 
 
 

うつ病での傷病手当金の申請方法

 
 
うつ病などで傷病手当金を申請する際は、以下の手順で行います。 
 

1.申請書の入手

会社の総務課の人に言えば申請書(健康保険傷病手当金支給申請書)をもらえます。その他、自分で手に入れるには、自身の健康保険組合のサイトなどでダウンロードします。

 2.申請書の記入

本人欄は本人が記入します。申請書の申請期間はだいたい1ヶ月程度の単位で記入します。傷病手当金の時効は2年なので、まとめて申請しても可能ですが、きりが良く末日等にしておくと良いです。次回の申請は前回の申請期間の翌日から開始します。療養担当者の欄は、通院先等の医師に記入を依頼します。事業主の欄は、会社が記載しますので、会社に送付します。

3.支給の審査

会社は保険者(健康保険組合等)に、申請書と賃金台帳等を提出し、保険者は傷病手当金の支給審査を行います。

4.通知と振込み

約1ヶ月後に支給または不支給の通知が本人に届き、数日までの間に、本人口座へお金が振り込まれます。

 
 
 
 

うつ病で退職後に傷病手当金をもらうには 

 
 

 資格喪失後の継続給付 

 
会社を辞めると、基本的に傷病手当金の受給は打ち切られますが、1年以上健康保険に加入していた経過があり、やめる時に傷病手当金の支給を受けていた場合は、やめた後、その保険者に保険料を支払わなくても、引き続き傷病手当金を受け取ることができます。お金はやめる前の保険者から支払われます。
 
 

 資格喪失後の継続給付の受給要件

 
職後も傷病手当金の支給を受けるには、次の4つの要件を全て満たすことが必要です。

1.退職日に健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
2.退職時に傷病手当金を受給中か受給要件を満たしている
3.退職日以後も労務不能状態が続いている
4.退職時に傷病手当金の支給が開始されてから1年6ヶ月未満である
 
 

 傷病手当金受給の際の注意点

 
傷病手当金は、労務不能であることが条件の一つであるため、退職後に1日でもアルバイト等を行うと、仕事ができるとみなされてしまう可能性があります。また、退職時に引継ぎや荷物の整理などで、会社に行き、それを出勤扱いされてしまうと、仕事をしたとみなされてしまいますので、報酬が発生しないようにするなど注意が必要です。
 
退職後に傷病手当金の申請を行う際、申請書の申請期間に、会社に籍があった期間が含まれている場合は、通常の手続きと同じように、申請書を会社に送付すれば良いですが、申請期間に、籍が含まれていない場合は、本人及び医師欄のみをうめて、直接、保険者(以前加入していた健康保険組合等)に申請書を郵送することになります。
 
 
 

傷病手当金は、健康保険法上の保険給付ですが、名称の良く似ているものに、「傷病手当」というものがあります。これは、雇用保険法上の保険給付となり、ハローワークで失業手当を受給中の人が、傷病により15日以上求職活動が出来ない場合に、失業手当に代わって支給されるものであって、傷病手当金とはまったく別物となりますので注意が必要です。

 

傷病手当金は、保険者(全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合等)により若干の差がありますので、受給の際は、自身が加入している保険者にご確認下さい。当サイトは一切責任を負えませんので、予めご了承下さい。