抗うつ剤の副作用
 

抗うつ剤の副作用

自分に合った抗うつ剤が処方されていても、正しく服薬できなければ、うつ病に効果は望めません。また、効果が出ないばかりか、時に重篤な副作用を招く恐れもあるため、薬は医師の指示通り、正確に服用することが大切です。
 

抗うつ剤の副作用が続く時や、薬の効果が実感できない場合は、自分で薬を調整せず、必ず医師に相談することが必要となります。

抗うつ剤の副作用

 
 

  副作用の一例

 
すべての薬に言えることですが、うつ病の時に処方される薬にも、主作用の他に副作用があります。副作用は服薬を続けていくうちに軽くなっていく場合もありますが、抗うつ剤の副作用が強く出ている時などは、副作用止めの薬を追加したり、原因となってる薬の中止や減量、または他剤への切り替え等を行います。
まずは様子を見れる程度のものであれば、少し様子を見て主治医にいつからどのような症状が出ているかを伝えてください。自分で出来る生活上の工夫で対処することも有効です。

口の渇き

口渇は、口臭、口内炎、虫歯等の原因にもなるため、早めの対策が必要ですが、水を飲んでもすぐに乾いてしまうので、うがいをしたり氷を含んだりします。

ノンシュガーのガムやアメをなめたりして唾液の分泌を促すことも良いと思います。口渇が酷い場合には、口を潤す専用のスプレーやうがい薬等を使う手もあります。

ビタミンB6の摂取も効果的と言われます。

便秘

整腸剤や下剤を処方してもらうことも出来ますが、出来るだけ薬以外で自然な排便を促すために、繊維質の食べ物やドリンクをとったり、適度に水分をとることが大切です。

自分も便秘の副作用が出ましたが、下剤ではなく、ファイブミニとダノンビオを毎日1つずつ摂取したところ、便通が良くなりました。しかし、過度の便秘はイレウス等を起こすこともあるため、生活上の工夫と共に、時に処方の追加も必要な場合があります。

吐き気

吐き気は副作用だけでなく、うつ病の症状としても現れるため、その判別がむずかしい場合があります。直接脳の嘔吐中枢に働きかける吐き気止めの薬や胃腸薬等を服用する方法もありますが、それでも症状が出ることがあり、生活の中で工夫も有効です。

酸味のあるガムやアメを含んだり、コーヒー等の刺激物を極力さけ、栄養バランスの良い胃にやさしい食品を食べる、腹部を締め付けない衣類を着用し暖める、等が有効です。そして、食事は決まった時間に、腹八分目が良いです。吐き気の副作用は抗うつ薬のSSRIでよく見られますが、数日から数週間で治まることが多いと言われます。また、ビタミンB5、B6の摂取も効果的です。

眠気

どんな薬でも良くみられる副作用だと思います。ガムを噛んだり、体を動かしたり、熱めのシャワーを浴びる、などが効果的です。睡眠時間が短い時などは特に強い眠気を感じる場合があるため、しっかり睡眠をとっておくのが大切です。あまりに眠い時は20分ぐらい椅子に座って仮眠をとるとすっきりします。

立ちくらみ

めまいや立ちくらみも比較的よくみられます。立ち上がる際はゆっくりと手をついて立ち上がるようにしたり、方向転換を行う際も意識的にゆっくり行うとかなり防げます。しかし、一時的ではなく常時めまいがする等の場合は、日常生活の中でも危険が伴うので、副作用であれば、処方の変更が必要かもしれません。

日焼け

通常よりも日焼けしやすくなるような副作用がある薬もあります。気になる場合には、日傘の利用や日焼け止めクリームの塗布、長袖の着用をすると良いでしょう。

<副作用の例>
口が渇く ・ 便秘 ・ 尿が出にくい ・頻尿・ 眠気 ・ だるさ ・ 吐き気 ・ 動悸 ・ 頻脈・胃部不快 ・ 目がかすむ・立ちくらみ・めまい・日焼けしやすい ・ お乳が出る ・ 勃起障害 ・ 生理異常 ・ 手のふるえ …

 

  重篤な副作用

 
38~40度前後の高熱(微熱の場合もある)、発汗、体の震え、筋肉の硬直、頻脈、身動きがとれなくなる等の症状が出た場合には、悪性症候群の可能性があります。時に集中治療室での治療が必要なこともある重篤な副作用です。すぐに主治医に報告して下さい。
 
副作用は抗うつ剤に限らず、風邪薬など他科の薬にもあります。精神科の薬だから特別怖いということはありません。大切なのは、どんな薬でも医師の指示通りに服薬する事と、自分の変化に注意を向ける事だと感じます。特に処方の変更があった時には注意してください。 たまに副作用が怖いので薬を急に止めてしまう方がいますが、危険な行為です。急激に薬をやめることにより現れる副作用もあります。絶対にやめて下さい。

うつ病の薬を正しく服用する

 
 

  薬の形状を変えない

 
薬の形状
カプセルや錠剤などうつ病の薬にもさまざまな形状がありますが、薬の形状は、その薬が一番、体内で良く効いて安全な形状となっていますので、勝手にすりつぶしたり、カプセルをとったりしてはいけません。
 
 

  処方された通りに服用する

 
自己判断で服薬する量を増やしたり逆に減らしたりすると、重い副作用が出る事があり危険です。 薬について不満がある場合は必ず、医師に相談して下さい。
また、風邪などで、市販の薬を服用することが多い方は、あらかじめ主治医に伝え指示を得ておくと良いでしょう。
他科受診をする際などは薬の説明書を持っていき、精神科の薬を飲んでいることを伝えましょう。  
 

 薬の保管場所に注意

 
基本的に薬は高温多湿の場所をさけて保管します。特に日が当たらないように注意して下さい。冷所保管の場合は冷蔵庫に保管します。飲み忘れ等があり、あまってしまった薬は、新しいものと混ざってしまうと、その日に服用したかどうかわからなくなった時に判断がつかなくなってしまいますので、必ず分けておくか、処分したほうが良いと思います。薬局に持っていけば、安全に処分してくれます。
 
 

 水以外のもので服用しない

 
薬はカフェインやタンニンなどと反応をしてしまうものもありますので、必ず水で服用するようにして下さい。牛乳などのカルシウムとも反応をしめすことがあります。またグレープフルーツジュース、コーラ、お茶等でも同様です。薬が効きにくくなったり、逆に効きすぎて副作用が出ることがある為、薬はコップ1杯程度の水で飲むようにしましょう。
 
 

 薬のセットをする

 
薬は1日に数回服用する場合が多いかと思います。受診の際に次回の受診までの薬が処方されますので、かなりの数になります。うつ病は判断力や注意力が低下する症状も出る場合がありますので、飲み忘れてしまったり、飲み間違えてしまうこともあるかと思います。
そのため、薬は1日分ずつ輪ゴムやホッチキスでまとめておくと良いでしょう。日付の記入もしておくとなお良いと思います。
どうしても昼は飲みずらいなど理由がある場合は医師に相談して下さい。服薬回数を減らせる場合があります。
また、スマホをもっている方は、「アン-サポ」という無料アプリが役に立つかもしれません。薬の服薬時間になるとアラームで教えてくれたり、日々の心の状態をグラフとして記憶してくれます。処方変更があった後の改善具合なども、わかりやすくなり、医師へも伝えやすくなります。

 

 飲み忘れた時の対処

 
抗うつ剤の副作用
人間ですから忘れてしまうことはあります。その場合、次の服用時間まで間があれば、気づいた時に服用しますが、服薬すべき時間が大幅に過ぎてしまった場合は、2回分まとめて服用せず、1回分減らします。しかし、1日のうちに1日分の薬が体内に入ったほうが良い時は、間隔を少しずつずらしながら服用する場合もあります。
服用し忘れた時の対処の仕方については、あらかじめ主治医に確認しておくと良いでしょう。受診の際はどの程度忘れがあったかということも医師に伝えて下さい。