うつ病セルフチェック

 

 うつ病セルフチェック

うつ病かどうかの診断は、基本的に医師の問診により判断されます。その際に良く使われる診断基準をご紹介します。順をおって自分の状態、あるいは変調が見られるご家族等の状態と照らし合わせて見ることで、うつ病セルフチェックができます。
 
だだ、最終的に診断を下すのは医師の役割です。問診では、診断基準の他にも、本人の表情、話しぶり、内科的な事柄、本人を取り巻く環境などさまざまなことを総合的に判断し診断が行われます。同じ出来事でも本人の感じ方と、専門的な目で見た医師の判断とでは捉え方に相違が出る場合もよくあります。このうつ病セルフチェックは、あくまで参考程度の使用にとどめ、気になる点は早期に受診し、確認することが大切となります。

うつ病セルフチェック(DSM-5の診断基準)

 
 
DSM-5(精神障害の診断と統計の手引き)はアメリカ精神医学会が定めたもので、日本でも良く使われます。この中でうつ病は、抑うつ障害(Depressive Disorders)という大項目の中に、大うつ病性障害として分類されています。
 
以下のうつ病セルフチェックは、DSM-5をもとに作成されています。質問は全部で5問です。上から順番に行い、質問の答えがYESの場合は、次の質問に進んで下さい。答えがNOの場合は、DSM-5の診断基準では、うつ病(大うつ病性障害)ではないことになります。
 
このうつ病セルフチェックの最終質問までYESが続いた場合は、うつ病(大うつ病性障害)の可能性がありますので、早期の受診をお勧めします。それ以外の方であっても、気になる症状が出ている方は、気軽に受診してみると良いと思います。

Question1
 
以下の項目の内、どちらか、または両方が2週間続けてありますか?

(明らかな身体疾患による症状は除外)
項目 状態 具体例
抑うつ気分 ほぼ毎日、1日中気分が落ち込む ゆううつ、悲しい、空虚感、いらいら、涙が流れる、孤独感
興味、喜び ほぼ毎日、すべての活動に興味が持てず、喜びも著しく低下  テレビや新聞を見る気がしない、仕事に行きたくない、趣味に関心がなくなった 

Question2
 

以下の項目が2週間連続してありますか?

また、Q1の項目の数と足すと5つ以上ですか?

項目 状態 具体例
食欲 ほぼ毎日、食欲がない(または過食) お腹がすかない、月に5%以上の体重変化
睡眠 ほぼ毎日、不眠(または過眠) 寝つきが悪い、何度も目が覚める、熟睡感がない、寝すぎる
精神運動 ほぼ毎日、焦燥や制止がある 周りから見て落ち着かない様子がわかる(または制止)
気力 ほぼ毎日、易疲労性、気力の減退がある 体力がなくなって疲れやすい、やる気が出ない、行動に起こせない
自責 ほぼ毎日、罪責感や無価値感がある 自分は何の役にも立たない人間だ、重大な罪を犯したと感じる
思考力 ほぼ毎日、集中力や思考力が減退 仕事に集中できない、話が入ってこない、決断ができない
自殺 自殺念慮または自殺企図がある 死について繰り返し考える、死ぬ方法を考える、実際に行動に移す

Question3
 
症状によって著しい苦痛があったり、仕事や日常生活に支障をきたしていますか?

Question4
 
精神状態に影響が出る薬物またはアルコールなどの物質の摂取はないですか?
身体疾患等により精神的な影響が出ているわけではないですか?

Question5
 
統合失調症、統合失調感情障害、妄想性障害等の精神病性障害の疾患はないですか?
その他、躁病や軽躁病はないですか?

統合失調症

被害妄想をはじめとするさまざまな妄想や、幻聴及び幻視などの幻覚が急性期の症状として現れます。まとまりのない言動が見られたり、一人で笑っていたり、ぶつぶつと何か言っていたり、周りからみると時に奇妙に映る場合もあります。その他、陰性症状として、意欲や関心の減退、自閉、自発性の欠如等もみられます。

統合失調感情障害

幻覚や妄想などの症状と、気分の落ち込みや、度が過ぎるハイテンション等が同時に起きたり、または別々に起きたりする病気です。大まかに言うと、統合失調症と、そううつがミックスされたような病気です。

妄想性障害

妄想を主症状とする病気ですが、統合失調症の妄想が「自分は神である」等の理解しがたい内容が多いのに対し、妄想性障害の妄想は「妻が浮気をしている」など、ある意味、了解可能な内容が多く、全体的な生活や就労におけるスキルも保たれているのが特徴です。

躁病、軽躁病

気分の落ち込みとは反対で、テンションが異常に高ぶる状態のみが現れる病気です。睡眠時間は短くなり、それでも疲れを感じずに、高揚していて何でも出来るという感覚になります。金銭的にも浪費が目立ったり、誇大的な言動がみられます。比較的状態の軽い時を軽躁病といいます。

このうつ病セルフチェックは、DSM-5の診断基準に基づいていますが、受診のきっかけになればと作成したものですので、参考程度にとどめて下さい。
実際には、さまざまな情報を加味して医師により診断がなされます。