LinkIconうつ病の症状が晴れたら うつ病とカフェイン等の嗜好品
 

 
うつ病とカフェイン等の嗜好品
 

うつ病とカフェイン等の嗜好品

タバコやアルコール、カフェイン等に依存性があるのは良く知られる所ですが、ケーキやジュースといった甘いものも実はある種の依存性があると考えられています。それらは脳に作用し気分に影響を与えるため、うつ病を誘発したり、その症状を悪化させると考えられています。
 

普段何気なくとっている嗜好品にはどのような物質が含まれており、それらがうつ病へどのような影響を及ぼしているのか、うつ病と嗜好品の関係を見て行きましょう。

うつ病と白砂糖

 
 

 砂糖にも依存性がある

 
白砂糖とは、サトウキビに含まれるビタミンやミネラルなどの物質を、人工的に取り除いて出来た物質で、迅速にエネルギーに変わる特徴を持っています。疲れたら甘いものをとると良いと言われるのはこのためです。ケーキやチョコレートに含まれる白砂糖は、酵素によってすばやくブドウ糖に分解され血液のって脳に届きエネルギーとなるのです。
 
すばやくエネルギーに変わるのであればとてもいいもののように感じますが、これはあくまで一時的な恩恵であり、長期的に見ると実は注意が必要な食べ物であると言われています。
 
白砂糖を食べるとドーパミンが出て心地よい感情になるためうつ病の人に好まれる傾向がありますが、これが依存症の入り口となります。依存症というと違法薬物やアルコールなどが注目されますが、実は白砂糖でも依存症になる可能性があるのです。
 
各種依存症は、同じ量では満足せず、次第に量が増え、また、一時がまんしていたとしても、その間は精神的に不安定な状態となり、その後ごくわずかな量を口にしただけで、感受性が高まり強い快感を得る、という特徴がありますが、これは白砂糖でも起こりうるのです。
 
また、白砂糖が急速にブドウ糖に分解されるということは、一気に血糖値が上がると言うことを意味します。低血糖症のところで述べますが、一気に血糖値が上がると言うことは、その後、低血糖になる恐れがあります。低血糖症はうつ病の症状ととても良く似ている為、精神的にも不安定になる恐れがあるのです。
 
その他にも、過剰なブドウ糖は脳や血管内のタンパク質にまとわりつき、炎症を起したり、神経伝達物質の流れを悪くしたりするため、気分がすぐれなかったり、脳卒中やアルツハイマー病にかかりやすくしてしまいます。
 
甘いものをまったく食べないと言うのも味気ないですが、うつ病を克服するためにできる範囲で減らしていく心構えが大切です。

うつ病とカフェイン

 
 

 カフェインは抑制系伝達物質の働きを弱める 

 
うつ病とカフェイン
カフェインはコーヒー、コーラ、さまざまなお茶などに含まれていますが、これらを摂取すると眠気がとれて頭が冴える感覚を得ることができます。うつ病の症状として倦怠感などが出ている際は、有効に働くように感じます。
 
これはカフェインに、血圧や血糖を上げる効果がある他、アデノシンと言う脳を抑制する伝達物質の働きを抑え、脳を興奮状態にすることができるからです。
 
カフェインにより、副腎が刺激されてアドレナリンが放出され、心臓の働きが激しくなり、血糖、血圧があがるのです。摂取後、30分から1時間で血中濃度が最高になり、5時間前後で半減期を迎えます。
 
しかしカフェインには、利尿作用や胃酸の分泌を高める働きがあるため、ミネラルを尿と一緒に出してしまい、脱水を起したり、胃壁を痛める場合もあります。また、DNAのコピー機能を妨げることもわかっています。
 
急激に上がった血糖値は、カフェインの効果が切れると、急激に下がり低血糖症を起し、抑うつ状態になることも予想されます。その他にも、ドーパミンの働きを強める効果があるため、多く取りすぎると脳は過度に興奮し、イライラ、焦燥感、睡眠障害などの不快な症状を引き起こす可能性があります。
 
さらにカフェインを継続的に摂取し続けると耐性ができ、どんどん量が増えていく場合があります。そうなると急に中断しようとしても、頭痛、イライラ、不整脈などの離脱症状が出ることがあります。カフェイン中毒になると、食欲減退、体重減少、胃潰瘍、過敏反応、不眠、熱感、寒気、抑うつなどの症状が出ると言われています。
 
カフェインは、健康に良いという報告もありますが、 うつ病とカフェインの関係を相対的に考えると、基本的にはあまりとらない方が良い部類の物質と思われます。
 
 

 ノンカフェインコーヒー

 
ノンカフェインコーヒーについても、カフェインを取り除く際に使用する塩化エチレンは、体内で炭素と塩化物の結合体を生み出しますが、これは殺虫剤にも使用される化学物質であるため、安全な量とは言われるものの、積極的に摂取するものではなく、通常のコーヒーの代用品と考える程度でしょう。
 
そもそもカフェインは、劇薬に指定されており、体重50kgの人が100杯のむとその半数が死亡すると言われているほどです。摂取は1日1杯程度にとどめ、夕方以降は摂取しないことが大切です。
 
その際も、カフェインの摂取で、ビタミンC、B類、亜鉛、カリウムなどが減ってしまうため、これらの有機物を食事やサプリメントなどで補給することが大切です。

うつ病と合成着色料、合成甘味料

 
 

 ジュースを飲むと落ち着きがなくなる?

 
ソフトドリンクに含まれる合成着色料に関してそれらの摂取が、落ち着きのなさや多動と関係している可能性が示唆されており、イギリスのサザンプトン大学の事務・スティブンソン教授のグループは、黄色4号、黄色5号、赤色40号、赤色102号等を摂取した子供に多動が発生しやすいとの報告をしています。
 
また、最近ではカロリーオフを謳った商品を良く見かけますが、これらの商品には合成甘味料として、アスパラギン酸とフェニルアラニンの合成物であるアスパルテームが含まれるものが多くあります。
 
アスパラギン酸は、興奮系の伝達物質であるため、これらの商品を多く摂取すると、脳が過剰に興奮し、焦燥感、イライラ、不眠、震えなどの症状が出ることがあります。
 
うつ病にも良いはずがありません。ダイエットの目的で摂取されるはずのアスパルテームですが、食欲増進の効果があるため、結局別のものが食べたくなってしまうので、結果的にはダイエット効果は期待できません。
 
また、ソフトドリンクには大量の白砂糖も含んでいるものもあり、それは結果的に低血糖を誘発しますし、本来かなり刺激の強い飲み物とも言え、摂取は控えめにすることが望まれます。

うつ病とアルコール

 
 

 うつ病の人は依存症になりやすい

 
日本酒1合(180ml)は、ビールだと中ジョッキ1杯、ワインだとグラスで3杯程度ですが、この程度であれば、大人は5時間前後で分解することができ、陽気でリラックスした状態を得られます。厚生労働省でもこの範囲を適正な飲酒量としています。
 
しかし3合以上の飲酒は大量飲酒と言われ、この量を毎日摂取すると10年で依存症になる ( 6合では5年 ) とされています。アルコールは脳を抑制する働きがあるため、アルコール依存症の人はうつ病になりやすく、また、もともとうつ病であった人も、アルコール依存症になりやすい傾向があります。
 
また、夜中2時から正午までの飲酒はアルコールを分解するのに時間がかかるため、長い間脳に影響を及ぼします。それに比べ、夕食時に飲むアルコールは夜中にのむアルコールより25%早く代謝されると言われます。
 
そもそもすでにうつ病で薬物療法を開始している人にとっては、薬との相互作用があり、薬がうまく働かなかったり、逆に強く出すぎて危険な副作用が現れる場合があります。また、アルコールは急激に血糖値を上げ、その反動で低血糖を起したり、一時的に気分が良くなっても酔いが覚めれば飲酒前よりも気分を落とすため、うつ病の治療には悪影響を及ぼすと言われています。
 
その他、自殺者の約4割に飲酒の痕跡が認められるという報告もあり、自殺と飲酒に関しても深い関係が示唆されています。
 

アルコールの種類と量 血中濃度 レベル 状態 脳の働き
日本酒 ビール(中生) ワイン
1合 1杯 グラス1.5杯 0.02~0.04 爽快 陽気、肌の紅潮 大脳皮質(理性)の働きが低下することで、大脳辺緑系(本能)が活発になる
2合 2杯 ボトル半分 0.05~0.10 ほろ酔い 抑制欠如、脈と体温の上昇
3合 3杯 ボトル4分の3 0.11~0.15 酩酊初期 易怒的、大声、ふらつき
4合~6合 4杯~6杯 1本~1本半 0.16~0.30 酩酊 嘔吐、同じ会話、千鳥足 大脳、小脳、海馬が少し麻痺する
 7合~1升 7杯~10杯   1本半~2本半  0.31~0.40  泥酔  起立不能、意識混濁、記憶不能  大脳、小脳、海馬が完全に麻痺
 1升以上  10杯以上  2本半以上  0.41 以上  昏睡 起きない、呼吸が遅い、死亡 脳幹にまで麻痺が及び死に至る

 うつ病とニコチン

 
 
タバコが体に悪いことはすでに周知の事実であり、ニコチン60mgの摂取で大人が死亡するほどの劇薬で、平均寿命は7年以上減るとも言われています。喫煙者は非喫煙者に比べ肺がんの死亡リスクは約5倍、喉頭がんでは30倍以上にもなります。
 
タバコは脳にも影響を及ぼしますので、体の病気以外にも、うつ病、不安障害、統合失調症などの発症率を上げることがわかっています。それでもなかなかやめられないのはニコチンにはヘロインをしのぐ依存性があるからです。
 
タバコを吸うと、ニコチンにより副腎が刺激されアドレナリンが放出されます。心臓が激しく動き、血糖や血圧を上げます。同時にドーパミンも放出され、快感を感じ元気が出た感覚が得られます。そのため一時的な抗うつ効果がありますが、長期的に見ると、リバウンドが生じるため、抑うつを引き起こしやすくなり、うつ病の治療には悪影響を及ぼします。少量の摂取では、ニコチンは脳を興奮状態にしますが、大量摂取では逆に脳を抑制させ、心拍は弱くなり死の原因になります。
 
依存症になってから急激にやめると焦燥感、イライラ、不安、抑うつ、集中力低下、不眠、頭痛などの離脱症状が現れ、一時的に精神状態の悪化が見られることが多いため、徐々に本数を減らしたり、禁煙外来などでの禁煙が必要となります。現在うつ病にかかっている場合は、ある程度症状が落ち着いてから、またはうつ病が治ってからの禁煙をお勧めします。
 
また、タバコ1本で25mgから100mgのビタミンCが減り、その他にもビタミンA、E、セレンなどが減るため、喫煙している時期は、少しでも体への悪影響を少なくするため、それらの有機物を食事やサプリメントなどで補給する必要があります。

今まで日常的に摂取してきたものの中には、実はうつ病の発症率を上げたり、症状の悪化を招くものがあると言う事がわかると思います。
そしてうつ病にかかりやすくするものというのは、往々にして何かの体の病気にもかかりやすくするものです。健康的な生活のため、これを機に自身の嗜好品についてきちんと考えてみると良いと思います。
しかし嗜好品はある意味、それも依存性のあるものがほとんどであるため、急激な中断は離脱症状が出る恐れがあります。すでに通院中の方などは、主治医に相談の上行うことが大切です。