うつ病で障害年金を受ける
 

うつ病でも障害年金は受けられます

基本的にうつ病は治る病気ではありますが、さまざまな理由で、長期に闘病生活を余儀なくされる場合があります。 その際の生活保障として、一定の条件を満たせば、 うつ病でも 障害年金の受給は可能です。

 
 
但し、うつ病等で初めて受診をした日から、1年6ヶ月経過していることが、申請条件の1つのため、傷病手当金の支給が終わった後に、それでもなおうつ病が治らず、障害の状態が続いていた際に申請するのが一般的です。

うつ病でも障害年金の受給が可能です

 
 

 障害年金の概要


障害年金は、一定の障害の状態にある( 精神又は身体に一定以上の障害が残り、就労や日常生活に支障をきたす状態 )と判断された場合に、受けることのできる年金で、偶数月に2か月分ずつ、指定した口座に振り込まれます。身体障害や知的障害のみならず、精神の病気によるものも、障害年金の対象になっています。うつ病でもその症状の程度により、受給が可能です。但し、うつ病で病院を初めて受診してから、1年6ヶ月が経過していないと申請することができません。

働いていた人がうつ病になった場合、それが確実に業務上のものと言えなければ、まずは傷病手当金傷病手当金を受給し、1年6ヶ月たって傷病手当金の支給が打ち切られても、なお働けない状況が続いていた場合、障害年金を申請することになります。
 
 

 障害年金の3つの種類

 
障害年金には、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金の3つの種類がありますが、自分がどの障害年金を受けられるかは、うつ病等で初診をした時に、どの年金に加入していたかによって判断されます。その意味で、障害年金にとって、初診日はとても重要になります。
 
なお、うつ病で病院にかかる際、はじめから精神科に行く人もいれば、うつ病の症状が体に出た場合は、近くの内科にかかる人も多いと思います。その内科でメンタル科等への受診を促され精神科を受診した場合などについては、初診日は、初めの内科となります。
 
 

障害基礎年金

主婦、自営業の人など、国民年金に加入中の初診日。または、20歳前の病気等で障害の状態になった場合や、過去に国民年金に加入したことのある60歳~64歳の間に初診日のある病気等で障害の状態になった場合

障害厚生年金

一般の会社員など、厚生年金に加入中の初診日

障害共済年金

公務員など共済組合に加入中の初診日

 
 
 
 

うつ病での障害年金の金額

 
 

 障害年金の等級


障害年金の金額は、病気や怪我の種類ではなく、その程度(等級)と、障害年金の種類によって違ってきます。障害年金の等級については、障害等級表( 国年令別表、厚年令別表第1及び厚年令別表第2 )に規定されており、障害の程度が重い順に、1級から3級に分かれています。

また、障害年金ではないのですが、1回だけもらえる給付として、厚生年金には「障害手当金」、共済年金には「障害一時金」という給付もあります。これらは障害年金で言うところの3級以下の状態と位置づけられ、3級までの障害年金が受給できない場合に、もらえる可能性があります。
 
 

 精神の障害(うつ病などの気分障害)の場合

 

1級

高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの

2級

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

障害手当金

労働が制限を受けるか、制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 
 

 障害手当金と障害一時金

 
障害手当金(一時金)は、初診日から5年以内に傷病が治り( 症状が固定し治療の効果が期待できない状態を含む )、障害手当金の要件に適する状態に該当している際に、受給が可能なものです。障害年金と同様に「初診日要件」「年金保険料納付要件」「障害認定日要件」満たす必要があります。
 
但し請求は、治った日(症状が固定した日)から5年以内に行う必要があります。また、障害年金等の公的年金を受けている者や、同じ障害で労災保険から補償を受けている場合は、受給することができません。

また、健康保険から支給される傷病手当金を受けている場合、障害手当金を受給すると、それ以降の傷病手当金は支給中止になってしまうため、1年6ヶ月前に病気が治った(固定した)場合でも、1年6ヶ月以降に申請をしたほうが良いです。
 
 

 障害年金の金額

 

 障害基礎年金

 

1級

年額 975,100円 ( 月額 約81,258円 )

2級

年額 780,100円 ( 月額 約65,008円 )

※ 18歳到達年度末までの子、または20歳未満の障害等級1、2級の子がいる場合には「子の加算」と言うものが加算されます。子の加算額は、2人目まで(1人につき)224,500円、3人目から(1人につき)74,800円です。
 
 

 障害厚生年金

 

1級

報酬比例の年金額×1.25

2級

報酬比例の年金額×1.0

3級

報酬比例の年金額×1.0(最低保障 585,100円)

障害手当金

一時金として、報酬比例の年金額×2.0(最低保障1,170,200円)

 
※ 1級から2級については、障害基礎年金のそれぞれ1級、2級分の年金も加わり、さらに一定の要件を満たす配偶者がいれば、配偶者加給年金額( 年額224,500円 )の加算もあります。
 
 

 障害共済年金

 
障害共済年金は「公務外の障害」「公務上の障害」の2本立てとなっており、それにより金額の計算方法が異なるため、以下の表は公務外の障害について記載しています。
 

1級

{厚生年金相当額+職域年金相当額}×1.25

2級

{厚生年金相当額+職域年金相当額}×1.0

3級

{厚生年金相当額+職域年金相当額}×1.0(最低保障585,100円)

障害一時金

一時金として、{厚生年金相当額+職域年金相当額}×2.0(厚生年金相当額×2.0部分の最低保障1,170,200円)

 
※ 1級から2級については、障害基礎年金のそれぞれ1級、2級分の年金も加わり、さらに一定の要件を満たす配偶者がいれば、配偶者加給年金額( 年額224,500円 )の加算もあります。
 
 

障害年金の金額は物価等によっても左右されるため、その年度によって若干の誤差があります。基本的に少しずつ減少傾向です。

うつ病での障害年金の申請方法

 
 

 障害年金の受給要件


以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
 

初診日要件

国民年金か厚生年金か共済年金の加入期間中(または20歳前の年金に未加入である期間中)に初診日がある病気やケガによって障害の状態になったこと。障害基礎年金の場合は、国民年金に加入したことがある方が、60歳~65歳未満の間に初診日のある病気やケガによって障害の状態になったこと。

障害認定日要件

障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日、またはそれ以前に治った日)において、障害基礎年金の場合は1級か2級、障害厚生年金及び障害共済年金の場合は、1級~3級の障害状態に該当したこと、または障害認定日には障害等級に該当しなかったが、65歳に達する日の前日までの間に、障害基礎年金の場合は1級か2級、障害厚生年金及び障害共済年金の場合は1級~3級の障害の状態に該当したこと。

年金保険料納付要件

初診日の前日に、3分の2以上の保険料の納付をしていること。但し、20歳前の病気や怪我で障害の状態になった人や、障害共済年金での申請の際は納付要件はありません。

 
 

 障害年金の申請方法

 
 

1.受給要件の確認

 
障害年金を受給するために必要な、基本的な3要件を満たしているか確認をします。年金の申請を考えていることを主治医に伝え、初診日の確認や、現在の状態が年金を受給するための障害の状態に値するかどうか相談して下さい。
 
 

2.書類の入手

 
申請に必要な書類をもらいにいきます。その際に、納付要件を満たしているか等の確認も行われますので、基礎年金番号や初診日などを把握した上で相談して下さい。基礎年金番号は、年金手帳に記載されてあります。相談窓口については、以下の通りです。
 

障害基礎年金

住所地の市役所または区役所等の国民年金課等。但し、初診日が国民年金の第3号被保険者期間であった人は、住所地を管轄する年金事務所。

障害厚生年金

勤務先または、最後に勤めた会社を管轄する年金事務所、年金相談センター

障害共済年金

加入している共済組合の本部等

 
 

3.診断書等の依頼

 
通院先の病院に診断書や受診状況等証明書などの、書類の記入を依頼します。書類の作成が早い医師もいれば、なかなか出来上がらない医師もいますので、1ヶ月たっても出来ない場合は、何度も催促してください。年金の診断書は、自立支援医療等の診断書に比べて、時間がかかる傾向にあります。
 
 

4.病歴、就労状況等証明書の記入

 
基本的には本人が記入しますが、家族の方や、専門家等の代理人が記入することもできます。記入の際は、診断書と相違がないように注意する必要があります。枠に書ききれない場合は、別紙を添付することもできます。診断書と共に、重要な書類になるため、日常生活の上で、支障が出ていることについて詳しく、具体的に記入してください。また、あたりまえですが、事実のみを記入してください。
 
 

5.書類の提出

 
診断書ができてから、3ヶ月以内にすべての書類を提出します。不備があると、決定までに時間がかかりますので、念入りに確認を行った上で提出します。場合によっては、詳細を確認するために先方から連絡が入ることがありますので、提出する書類はすべてコピーをとっておくと良いです。
 
 

6.年金の支給が決定

 
年金証書等の通知と共に、お金が振り込まれます。基本的に年金は、2か月分ごとに、偶数月に振り込まれます。年金が不支給となった場合には、不服の申し立てを行うこともできます。
※ 障害共済年金による請求手続きについては、厚生年金や国民年金による請求と共通様式ですが、申請の仕方が各組合等により若干異なるため、詳細は請求先の共済組合にご確認下さい。
 
 
 

上記の流れは、ごく一般的な申請によるものです。この他にも、さまざまな請求の仕方があります。障害年金の制度は複雑であるため、詳しくは相談窓口にてご相談されながら行うと良いと思います。精神科の病院には、相談室等に精神保健福祉士がおりますので、ぜひご相談下さい。精神保健福祉士がいない場合や、特殊な申請をお考えの場合には、有料にはなりますが、地域の社会保険労務士等へのご相談も有用かと思います。