快眠と生活
 

快眠と生活

何をしても眠れないという話を良く聞きますが、眠りについて考えてみると、自らの睡眠の質を悪くしている原因は、実は自分自身の過ごし方に原因があるという場合が少なくありません。
 
精神科を受診され、眠剤を服用している人の中でさえ、そのような生活の送り方では、いくら薬を飲んだからといって、眠れないだろうと感じることは良くあります。ここでは、 快眠と生活の関係について見ていきましょう。

快眠のための生活とは

 
 

 効果的な昼寝の仕方

 
成人にとって昼寝は、基本的に不要と言われていますが、効果的な昼寝であれば、健康増進や作業能率の向上等のプラスの効果があるという報告もあります。学校や職場などでも組織的に、昼寝の時間を作っている所があります。
 
人の体内リズムの周期をみると、夜中の2時~3時と、お昼の3時~4時の間に眠気のピークが来ることがわかっており、午後の昼寝は、自然な行為と考えられ、海外でも昼休みに自宅に戻り、昼寝をする習慣のある国もあります。適切な昼寝を、生活の中に組み込むと良いでしょう。
 
 

 昼寝はどのぐらいが良いか 

しかし昼寝も、ノンレム睡眠にまで入るような時間まで寝てしまうと、それは逆効果です。良質な目覚めは、レム睡眠を経てはじめて得られるので、ノンレム睡眠の時に起きたのでは、すっきりと起きれず眠気やだるさがずっと続いてしまいます。
 
ノンレム睡眠の最中ではなく、それが終わった頃に起きたとしても、それでは寝すぎになり、逆に夜に良質な睡眠を得る事ができず、睡眠リズムを崩す大きな原因にもなります。
 
そのため、効果的な昼寝時間は、20分程度と言われています。熟睡し過ぎてしまわないよう、明るい場所で椅子に座って寝たり、コーヒーやお茶などを昼寝の前に飲んだり(カフェインが効いてくるため自然に起きやすくなる)すると、有効でしょう。
 
 

 快眠には起床時間が大切

 
起床時間
人間は寝貯めができないと言われています。寝すぎると逆にだるさが残り不調になるばかりか、生活リズムが崩れ、快眠のためにはマイナスな行動と言えます。寝不足の日が続いている時や、徹夜明けの日などで、たっぷり寝たいという時は、就寝時間を少し早くして、起床の時間はいつもの時間に起きるようにして下さい。
 
休日についても、いつもの起床時間のプラス2時間以内には起き、太陽の光を浴びて体内時計のリセットが大切です。体内時計を整えるには、きちんとした時間に起きて、光を浴びる事が大切ですが、はじめは起床がかなり辛くても、だいたい約1ヶ月その生活を続けると、体内時計が修正され、起床と就寝が整ってくると言われています。
 
ただ、うつ病の症状がとても重い時には、生活リズムを余り考えずに、ずっと寝ていてもかまいません。症状の回復と共に少しずつ戻していけばよいです。

 
 

 早寝を心がける

 
7時間程度の睡眠時間を送る生活が、もっとも健康的で、良質な睡眠が得られると言われていますが、何時に寝ても良いというわけではなく、基本的には23時までに就寝するのが理想的と言われています。成長ホルモンや神経伝達物質等が適切に分泌されて、翌朝の調子が良くなります。できるだけ、早寝を心がけて下さい。
 
 

 入浴は早めに済ます

 
うつ病と入浴
眠くなっている人の手足は、さわると暖かくなってます。体表面の温度のことを体温と言いますが、眠くなると体温が上がり、それにより熱を放出し、体内部の温度(深部体温)を下げます。深部体温が下がると人は眠くなるように出来ています。
 
そのため、寝る直前に入浴すると、深部体温が上がってしまうため、入眠しにくくなります。また、熱めのお湯は交感神経を刺激して覚醒させてしまいますので、これも逆効果です。
 
快眠のための適切な入浴の仕方は、入眠の2時間以上前に、38度前後のぬるめのお湯で入浴すると、副交感神経が優位になりリラックスできます。また、入浴後しばらくすると、徐々に深部体温が下がってくるため、眠くなりやすくなります。入浴はうつ病の治療にも大きな効果を生みます。
 
 

 運動が睡眠の質を上げる

 
適度な運動をした日の睡眠は、レム睡眠が若干減り、ノンレム睡眠が少し増え、トータルの睡眠時間も若干長くなる傾向にあります。運動が、その日の睡眠の質を上げるのです。しかし、どんな運動が一番効果的であるのか、いつ行えばいいのかということに関しては、いろいろな報告があるため、はっきりとはわかっていません。
 
一般的には、夕方や夜に軽いウォーキング程度が良いと言う報告が多いです。基本的に激しい運動は、交感神経を刺激してしまうため逆効果と考えられます。
 
夕方以降に軽い運動をすることで、適度に体温が上がり、それが時間と共に下がっていく頃、人は眠りやすくなると言われています。運動は、うつ病に対しても治療効果があるため、うつ病の治療として適切な時期に取り入れることは、有効であると感じます。

 
 

 快眠の為にはベットで考え事をしない

 
大きなストレスは眠りの妨げとなります。あれこれ考えていても、大きなストレスは、すべてを投げ打つ覚悟がないと、簡単には解決できません。そのため、大きなストレスに対しては、上手にやり過ごすことが、最善の解決策と言えます。
 
特に寝る前に、ベットでいろいろと考え込んでしまう傾向のある人は、睡眠の質を大きく下げてしまいます。布団に入ったら、考え事はやめましょう。
 
睡眠不足は、ストレスに過剰反応してしまう傾向があり、逆に良い睡眠を取れば、そのストレスから受ける影響を小さくする事ができます。

 

食べ物と睡眠の関係

 
 

 覚醒作用のあるものを避ける

 
コーヒーやお茶などに含まれるカフェインには、覚醒作用がありますので、夕方以降は摂取しないようにしましょう。また、タバコにも覚醒作用がありますので、控えめにしましょう。うつ病の回復にもよくありません。

 

 うつ病に寝酒は禁物

 
お酒を飲むと眠くなるので、寝れない夜に寝酒として活用している方もいるかもしれませんが、アルコールは質の良い眠りとはなりません。アルコールによる利尿作用で、夜中に起きてしまったり、体の弛緩作用により、のどの筋肉が必要以上に弛緩して、軌道をふさぐため、イビキをかき睡眠は浅いものになります。
 
また、お酒を飲んだ睡眠は、後半にレム睡眠が通常よりも多くなるため、早く目が覚めやすくなります。それでもどうしても飲みたいと言う場合は、小ビール1本、グラスワイン1杯、日本酒半合以内にして留めることが大切です。

 

 寝る前の飲食はさける

 
眠るときにお腹の中に食べ物があると、消化をしなければならないため、体はしっかりと休息することができなくなります。夕食は早めにすまし、寝る前には胃の中にあまり食料がないようにしましょう。
 
 

 天然の睡眠薬

 
牛乳の中に含まれている、トリプトファンという物質が、眠りをさそうとされています。また、牛乳のたんぱく質が分解される過程で発生する物質にも、快眠効果があります。眠れない夜には、温めたミルクをカップ1杯ほど飲むと良いでしょう。

うつ病の治療において睡眠は重要な要素となります。自分でできることも多いため、快眠のための生活習慣についてきちんと見直してみる姿勢が大切です。