療養に関するうつ病相談
 

療養に関するうつ病相談

うつ病は、すぐに治る病気ではないため、療養中にもいろいろな問題が生じることがあります。うつ病の症状として、一度考え出すと悪い方向にしか、考えられない場合もよくあります。
 
ここでは、 療養に関するうつ病相談に、精神保健福祉士がお答えしています。

うつ病になると気分は沈み集中力もなくなり、仕事に身が入らなくなります。さらに悲観的に物事を考えるようになるので、自分がいても迷惑がかかるばかりだと、すぐに退職を考えがちです。
 
しかしうつ病は、客観的に物事を判断する能力自体が低下する病気ですので、退職という判断自体が、先走った考えである事がよくあります。退職という最終的な決断をさけ、できるかぎり保留にすることが一番です。医師に頼んで診断書を書いてもらい、まずは数ヶ月の休職をお勧めします。
 
ただ、職場は自分で決めるものだと思いますので、辞めることもひとつの考えではあると思います。しかしそれは、正常な判断が出来るとき(理想はうつ病が治った時)にする決断だと感じます。仕事のことに限らず、うつ病の状態では重要な決断はしないことが大切と言われています。
 

ご存知のとおり会社に勤めている方の場合ですと、有給休暇があります。給料も実際に仕事をした日と同等の給料が支払われます。しかし有給休暇だけでは十分な休みが取れないと思いますので、足りない分を補う制度として傷病手当金があります。病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降から休んだ日に対して支給される制度です。うつ病などの精神疾患による休職にも適用されます。
 
一日につき標準報酬日額の3分の2が支給されます。最初の3日間は待機期間といいますが、この待機期間に有給をつかっても、4日目から傷病手当金を受給することができます。ですので、有給がたくさんあまっている方などは、休職期間の初めの数週間を有給休暇で使用し(復職後の事を考え有給は全部使わないほうがいいです)、その後傷病手当金を利用すると良いでしょう。ちなみに傷病手当金は支給を開始した日から、1年6か月まで受給できます。
 

傷病手当金の請求先は、会社の健康保険組合または管轄の協会健保になります。申請者は被保険者(うつ病の本人)ですが、会社が行ってくれるところが多いと思います。申請書には本人、事業主、医師が記入する欄があり、賃金台帳の写しや出勤簿の写しを添付して申請することになります。申請は大体1ヶ月ごとに行うことが多いです。詳しくは、以下を参照して下さい。

 

真面目で頑張り屋さんに、うつ病は多いと言われています。無理をおして頑張りすぎた結果、うつ病になることが多いからです。そのため、励ましは逆に相手を追い込むことにつながり、うつ病で頑張れない本人は余計に自信を失ってしまいます。
 
ただ、ある一定の言葉をかけなければ良いかというと、そうではなく、本人がどんな気持ちでいるか、どのような経過で病気になったのかを考えれば、自然に適切な対応ができると感じます。そういう意味では必ずしも「がんばれ」と言ってはいけないとは自分は思いません。かなりうつ病が回復し、医師からOKが出ていても、本人自身が自信を失ってしまい、一歩が踏み出せない時などは、頑張れの一言が効果的に働くかもしれません。
 
いずれにせよ、言葉というのは毒にも薬にもなります。逆に病人だからという接し方を、過度にするほうが、逆効果だと思います。基本的にはいつもどおりで良いと思います。インフルエンザで39度の熱が出ている人に、がんばれ!とは言いませんよね。ゆっくり休んでと言うと思います。例えれば、うつ病の症状も39度だったり37度だったり、時に36度にさがったり…という感じです。その時に応じた接し方をしてくれると本人は助かります。
 

日本では3万人以上、全世界では100万人以上の人が毎年自ら命を絶っています。その多くがうつ病などの精神疾患を持っていると言われています。
 
友人として、死にたいと聞いたらとてもびっくりしてしまうと思いますが、追い詰められている状況の人には、こちらからの話しかけにはあまり耳を傾けない場合が多いです。まずは相手の話をじっくり聴く姿勢が大切です。その中で、すでに自殺の具体的な方法まで話し出したり、自殺をしないと約束ができないような時は、早急に受診させて下さい。信頼できる人が付き添う形での受診が良いかと思います。刃物やひもは目につかない所にしまい、本人を一人にしないことが大切です。
 
自殺したいと感じるくらいつらい思いになることは、生きていれば時にあるかもしれません。じっくりと話をきいて下さい。説得するような姿勢ではなく、あるがままに話を聴いてください。自殺しないと約束できる状態の人でも、沈んだ気持ちが続いているのであれば、一度受診してみることを勧めます。
 
うつ病などでは、どん底の状態の時よりも、やや回復してきた時に自殺に陥りやすい傾向があります。どん底の状態では、自殺することすら気力すらないためです。そういう点では、良くなってきたからといって油断は禁物です。
 

眠れないといった相談はよく耳にします。眠れるように生活上の工夫をしても、環境を整えても、眠剤を調整しても、眠れない事が人にはあります。そんな時は起きていれば良いです。眠らないと病気が治らないとあせる気持ちが、逆に治療の妨げになります。そのような気持ちになるくらいなら、起きていて下さい。ベットに横になり目を閉じていてもいいですし、目をあけて天井を見ていてもいいですし、深夜のテレビショッピングを見ていても良いです。
 
自分もそんな日が時にあり、起きていました。よくもこんなに寝れないもんだなと思いながら起きていましたが、3日寝れないという日はありませんでした。何日も寝れない特殊な病気がありますが、うつ病の場合、そのうち寝れるように出来ています。また、寝ないことがうつ病の治療になることすらあります。

 

うつ病が治った今、休養なんてただなんもしなければいいだけなのに、と思えるのですが、自分もうつの時は、どんな風に過ごしたらいいのかわかりませんでした。そんな中、家で飼っている猫をぼーっと眺めているといつも寝ています。「こいつは休養の天才だな。こいつに休養の極意を学ぼう!」と思い観察をはじめました。
 
テレビの上で寝ていると思えば(当時はまだブラウン管)、熱くなりすぎ居心地が悪くなったのか、ベットに移動し寝ていました。その後は水を飲んでみたり、時に背伸びをしてみたり、たまにこちらにじゃれかかってきたりしました。飽きるとあくびをして、いつもの定位置(マッサージチェアーの上)で寝ています。新聞紙をかじってみたり、ごろんと横になってみたり、のんきに自分のやりたいことをやって、自由に静かに過ごしています。
 
「これだ!」と思った自分は、同じように過ごしました。ベットで天井を見て過ごし、なんか落ち着かなくなれば、リビングのソファーに移動し横になり、テレビをつけては、すぐに消し、猫をじゃらしてみたり、自分もあきればすぐやめて、ベランダに出てタバコを吸いながら、流れる雲を見てみたり…。お風呂も入りたい時に入りました。
 
そのうちに症状が良くなれば、寝る時間や食事をとる時間を、意識的に毎日大体同じ時間にして、生活にリズムをつけました。また、洗い物だけは毎日するようにしました(しないこともありました)。よくなっていけば散歩に出たり、活動の幅が自然に広がっていきます。
 

長い間、自宅にこもっていると、外に出るのは診察の時だけになります。症状が改善してきた頃、ちょっと外に出てみようかな、と思う瞬間があると思いますが、意欲が十分に回復していないと、それをやめてしまう場合があります。それはそれでいいと思います。しかしそのように感じた数回に1度は、実際に外に出てみたり、ちょっと負荷のかかる何かをしてみるといいと思います。そんなことの積み重ねが、病気の回復を後押ししたと自分は感じます。
 
自分の場合はパチンコに行ってみました。はじめは当たってもまったくおもしろくなく、まだダメだと感じました。しばらくしてまた行ってみました。今度は当たらなかったけど、おもしろいと感じる自分にびっくりしました。おもしろいと感じる事は、数ヶ月ぶりであったと思います。自分にもまだそういう感情が残っているんだなと思いました。パチンコは依存の問題がある為、お勧めはしません。行かない方がいいです。自分も今はしていません。要は自分の趣味をしてみると良いという事です。
 
それからは、ちょっとタバコを買いに行くだけでも、涼しくて心地良いと感じたり、料理をしてみようかなと買物に行ったり、徐々に活動の幅が増え、最終的に復職しました。
 
うつ病では、意欲の改善は一番最後まで残る症状と言われています。
 
①はじめは何かをやってみようかなと感じ、
②それを数時間続けることができて、
③最後におもしろいという感覚が出てくる、
 
といったステップで改善していくとされています。また、はじめはテレビや音楽などを受身的に楽しむことから、次第に散歩など積極的に自分から行動を起こし、楽しむことができていき、最終的には趣味以外にも、仕事がおもしろいと感じるというようになります。自分も概ねそんな感じだったと思います。
 

うつ病にはさまざまな経過があり、かなり個人差があります。その為、他人と比較しすぎないほうが良いと思います。うつ病の薬が合っており、休養も十分であるなど、うつ病の治療が良好である場合は、数ヶ月の間に良くなると言われていますが、いろいろなデータがあり一概には言えないと感じます。
 
うつ病がなかなか治らない場合には、それなりに原因があります。薬の飲み忘れがあったり、抗うつ剤が合っていなかったり、抗うつ剤の量が少なかったり、十分に休養がとれていなかったり、そもそもうつ病ではなく違う病気であったり…。
 
参考までに自分の場合は、自分に合った薬(ノリトレン)に出会うまで初診から5ヶ月かかりました。この期間はかなり低空飛行といった感じでした。治らないと感じることもありました。しかしノリトレンを服用してからは、約2ヶ月でかなり改善し、その後半年ほどで症状はなくなり、さらに数ヶ月で服薬を中止できました。仕事自体は4ヶ月、休職したことになります。
 
スタンダードなうつ病であれば、薬物療法と休養で、うつ病は治ります。そのことは忘れないで下さい。
 

自分のうつは、まず吐き気という症状から出始めました。病気の波とともに時折出てくるやっかいな症状でした。それはドンペリドンという、脳の嘔吐中枢に直接作用するタイプの吐き気止めを服薬しても、あまり効果がありませんでした。とても辛い症状です。
 
そのため自分はまず、コーヒーなど胃に負担をかける物を出来るだけ取らないようにして、タバコも減らしました。毎朝ヨーグルトを食べました。また、即効性があるものとして、レモンのガムやタブレットを食べました。物を噛むという行為はストレスを減らします。
 
ガム等は昔から好きだったので、病気が治った今でもよく食べています。無印良品のレモンタブレットはノンシュガーで好きでした。また、フリスクも即効性があり、一時的に吐き気が治まりました。フリスクをなめて小さくなったらそのまま飲みこむと胃がすっきりしました。サイダーもすっきりしました。胃には負担ですが…。こんなことをしているうちに、病気の改善とともに吐き気はなくなりました。
 
うつ病ではない人でも、吐き気はストレスを受ける場面等で、よく見られる症状です。また、吐き気が出てしまうのでは?という、先のことを必要以上に考えてしまう事が、逆に吐き気を呼びこんでしまいます。「吐き気が出てもいいや」「出たらガムをかもう」「頓服をのもう」「吐くことはないからそのままにしておこう」などと吐き気に対しての認知を変えることも、効果的だと思います。

 

うつ病の症状として便秘が現れる時もありますが、多くの場合、精神科薬の副作用として便秘になることがあります。便秘がひどい場合、整腸剤や下剤が処方されることも多いですが、自分はできるだけ自然な排便をしたかったので、食事等でできるだけ野菜等をとるように心がけました。適度に水分もとりました。また、毎朝ヨーグルトをたべ、ファイブミニをネットで大量に買い込んで、1日1本飲むようにしました。薬がなくてもそれで自分は出るようになりました。薬が減って行くにしたがって、ファイブミニの本数も2日に1本にしたり減らしました。
 
その他、簡単な運動やお腹のマッサージなども効果的でした。このような生活上の工夫をしてもなかなか出ない場合には、イレウス等をおこすことがあるため、薬の処方が必要になるかと思います。主治医への相談をお勧めします。
 

そもそも健康な胃腸とはどういう状態をいうのでしょうか?それは、食事のたびにバナナ2本ぐらいの、においの少ない黄褐色の便が出て、尿も1500cc以上出る状態をいいます。
 
1日3回も便が出る人はなかなか少ないですよね。そうなるとみんな少なからず、胃腸が弱っていることになります。ではどのように生活したら良いのでしょう。たばこやお酒を控えるというのは良く聞くところです。胃腸に良い食べ物も耳にすると思います。脂肪分の多いものは消化に悪いので、炭水化物やたんぱく質を中心に、ビタミンやミネラルを摂ると良いです。
 
また、1日1.5ℓぐらいの水を飲むことは胃腸を強くする効果があるようです。しかし注意しないといけないのは、50度前後のお湯を飲むことです。冷たい水では、肝臓の働きを鈍らせ逆効果となります。それと、冷たい水は、水の分子がそれぞれくっついて大きなかたまりとなっているため、体に浸透していきません。すぐに汗や尿として出てしまい、トイレも近くなります。
 
温かいお湯であれば、分子がそれぞれ離れており小さいため、スムーズに浸透していきます。老廃物が排出されやすくなったり、血の巡りがよくなったり、副腎が活発になりホルモン分泌が正常になったり、胃腸がよくなったり…体全体が元気になることが期待できます。
 
いきなりいつもの習慣を切り替えるのは、体にも負荷がかかる可能性がありますので、徐々に冷たい飲み物を控えるようにして、温かいお湯を増やしていくと良いと思います。心と体は繋がっていますので、体の調子を整えることは、うつ病の治療にも効果的と言えます。
 

障害年金は、うつ病でも受給が可能です。障害年金には、基礎年金の場合は1級~2級、厚生年金の場合は3級まであり、等級等によりもらえる金額が違っています。申請して支給が決定すれば、2ヶ月ごとに偶数月に支給されます。
 
障害年金の申請には一定の条件があり、第一前提として、初診日から1年6ヶ月経過している必要があります。詳しくは以下を参照して下さい。

 
障害者手帳は、身体障害や知的障害だけでなく、精神障害についても、申請することができます。もちろん、うつ病も対象となっており、精神障害の場合は1級~3級までの等級があります。どの等級であっても受けられる公的サービスもあれば、1級でないと受けられない医療費助成制度などもあります。
 
一般的なうつ病の場合、障害者手帳の取得をしても、申請にかかる診断書の料金などを考慮すると、そこまで必要なものではありません。ただ、病気が長引いている時や、1級に該当する状態の時、生活保護を受けている時については、申請を検討してみると良いと思います。