
うつ病を治す15か条
薬物療法や栄養管理など生物学的な視点の他にも、考え方や行動などの心理的な視点、職場や家庭環境の改善などの社会的な側面についても、同じように重要であるため、どれかひとつに偏らないよう、自分でマネジメントをしていく姿勢が大切です。ここではうつ病を治す15か条をご紹介します。
1.うつ病の薬を正確に服用する

大切なのは、自分に合った抗うつ薬を、十分な量で十分な期間、服用する事です。そのためには、抗うつ薬を飲み忘れないようにするのはもちろん、今飲んでいる薬がどの程度効いているか、自分自身で客観的に把握し、それを医師に伝えることも必要になります。
うつ病の薬について、何か疑問や不信感がある場合には、必ず医師に説明を求めるようにして下さい。まちがっても自分で薬の調整をするようなことは絶対に避けて下さい。
2.十分に休養をとる

仕事を休んで自宅療養に入ると、その安心感等から一気に症状が悪くなるように見える場合がありますが、うつ病というのは、いったん底辺まで悪くなる事も時に必要な経過のような気がします。
休むといっても、どのように過ごしたらいいかわからないと言われる人もいますが、さまざまな情報を出来るだけ排除して、ゆっくりと脳を休める事が大切だと思います。寝れなくても布団で横になっているだけで良いです。自分は寝っ転がって天井ばかり見ていました。あせらなくても、良くなれば自分から何かしてみようという思いが自然に出てきますので、それまではだらだらと、ぼけーっとして下さい。そわそわして休むのも難しい時もあると思いますが、それでも極力休むようにして下さい。
特に症状の重い時は、本当に何もしない。昼も夜もなく寝ている。ぼーっとする。 少しずつ改善されて来た時期には、ひとまず朝は起きて食事をとる、昼は洗い物などする、夜は寝る、というリズムを作っていきます。
かなり改善してきたら、日中何かしらの活動(掃除機をかける、読書をする、散歩をする)など負荷の少ない行動をするというように段階的に活動を増やして行きます。
3.入院が必要な場合もある
基本的にうつ病は自宅療養になる人が多いと思いますが、症状によっては時に入院が必要な場合もあります。自宅ではどうしても自分の役割があり、しっかりと休養できない、自殺の危険がある、食事が長期に取れず身体的に衰弱しているなどの時は、休養だけに専念できる環境(入院)に身をおくのも良いです。
入院の必要がある場合は、主治医から話があるかと思います。また、自分で入院が必要と思えば相談してみるのも良いでしょう。一般的に精神科への入院は怖いというイメージをもっている方が多いですが、結果的には入院により、うつ病の回復が早まったという場合も良くあります。最近では、うつ病やストレス疾患を対象とした、専門の病棟を用意している医療機関も増えてきています。
また、入院すると、今受けている環境的なストレスから解消されるため、すぐに良くなる人もいます。さまざまな職員の見守りの中、処方の変更がしやすかったり、外来では出来ずらい治療を行えたりするといったメリットもあります。
4.うつ病になった原因を探らない

原因をさぐる事や、考え方を見直すことは、本来悪いことではありませんが、それを行う時期が大切であるといえます。原因の探索は症状が回復した時に行うことです。それが性格や生活環境の見直しにつながり、再発の防止になります。 うつ病の症状が重い時に行う事ではありません。
軽症のうつや、症状が回復してきた方、または再発の防止のためなどには、認知療法が効果的と言われています。
5.うつ病の完治をあせらない
早く良くならなくてはいけないという気持ちから、体や心は疲れているのに、無理やり活動を起こすと、うつ病の症状は悪化します。何かをしなければならないという思いから起こす行動は、不調時には適しません。
症状が改善してくると、何かをしたいなと自然と思えるようになってきますので、そのような時に少しずつ行いましょう。その場合も、やりすぎるとのちに反動が出やすいのでほどほどにしましょう。
また、うつ病でなくても100%元気いっぱいという状態の人は、あまりいないと思います。完璧主義的な傾向のある人は、だいぶ改善された後も、ささいな症状が残っているとそれが許せず、機械のような正確さを求める面がありますが、それも結果的に病気を治さない方向に向けているような気がします。細かいことは気にしすぎないようにした方が、良い結果を生む場合が多いと思います。
6.うつ病の時は大切な決断をしない
うつ病によって判断力や決断力が鈍っている状態ですので、重要な判断を要する決断は避け、保留としておきましょう。しかしそうはいっても保留に出来ない事柄もあるかと思います。そのような時は、信頼できる人に相談すると良いでしょう。
特にすぐ仕事を退職してしまうのは、結果的に後悔する場合が多いです。退職するにしても、経過を見てからにした方が良いと思います。退職ではなく、診断書を書いてもらい、休職を勧めます。毎月雇用保険をひかれているんですから、休職は正当な権利です。法律でも認められた権利です。私も4ヶ月程度、休職しましたが、今はその職場で元気に働いています。
ただ、その職場自体がうつ病になったきっかけを作ったというような場合は、所属を変更する必要があったり、場合によっては退職するのも必要かもしれません。しかしその場合でも、うつが改善してからの判断をお勧めします。人の気持ちは本当に良く変わります。悲観的な時は、すべてにおいて悲観的に考える傾向があります。仕事を辞めたいと思う気持ち自体が、うつ病の症状である場合があります。
7.アルコールやカフェインはとらない

しかしこの効果は約1時間程度しか持続せず、病気が治ったわけではありません。それどころか、必ずその反動が出ます。それは前より酷いうつの症状です。それを回避するために飲酒をしてしまい、依存症になる人もいます。
また、飲酒によりビタミンやミネラルが使われ、神経伝達物質の量が減ったり、神経細胞の死滅も起こります。アルコールは耐性ができるため、徐々に摂取する量が増えてしまう問題もあります。そもそも薬との相互作用により危険な状態になる場合があります。
また、カフェインもアドレナリンの放出を促す働きがあるため、動悸や緊張の原因となります。眠気等の副作用に効果的であったり、健康に良いとする報告もありますが、うつ病を治すには摂取をさけるか、1日にコーヒー1杯未満にするほうが良いと思います。
8.禁煙する
喫煙はセロトニンを減らす作用があり、健康にも良くないので止めたほうがいいです。禁煙によって一時的にうつのような症状が現れる場合がありますが、禁煙に成功すると、抗うつ剤以上の効果があるとの研究結果もあります。今は禁煙外来等もあるので、利用してみるのも手です。
でも自分はやめられませんでした。再発防止のためにも、早いうちに禁煙外来を受診してみます…。
9.バランスよく食べる

食事が思うように取れない時は、サプリメントなどで補うのも良いと思います。お勧めはマルチビタミン、マルチミネラル、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸かと思います。いろいろなものが出ていますが、たくさん飲んでも効果があるというわけではありません。脂溶性ビタミン等は逆にとり過ぎによる害もありますので、使用量は必ず守ってください。 ビタミンCサプリなどの摂取の際は、一気に成分が放出してしまうものでなく、時間をかけて解けていくタイプのものを選ぶと良いでしょう。
また、ビタミンそのものには栄養はありません。エネルギーにもならないし、体の組織にもなりません。あくまで他の物質と一緒になった時にはじめて、その働きが発揮されます。そのため、食事を取らずにサプリメントでビタミンだけをとっても効果はありませんので、食欲がなくてもできるだけ、少しでも食べるようにしましょう。
10.質の良い睡眠をとる
睡眠は脳にとってかけがえのないものです。うつ病になるとしっかり眠らなければならないのに、不眠という症状が現れます。薬を飲んでも眠れない場合もあるでしょう。少しでも質の良い睡眠が取れるよう、快眠のための工夫をして下さい。
それでも眠れない時は、眠る事に捉われず、起きていて下さい。もちろん夜に眠いのをおして活動するのは避けるべきですが、寝れない時は、寝ないと治らないと思い過ぎないで下さい。断眠療法という治療法もあるぐらいです。寝なくてもいいんです。
また、症状の重い時期は昼も夜もなく、寝ていても良いです。無理してリズムを取る必要はありません。回復してきた時にリズムをとって行きます。
11.適度に運動をする
運動も症状が重い時にやってはいけません。あくまで回復してきた時に行うものです。症状が重い時にやると逆効果です。しかし軽症から中等度の場合は、薬物療法よりも効果的であり、再発率も低いとの研究結果もあるぐらい効果的と言われます。
また、気分が前向きになってきてもいつまでも休んでいてはうつ病は治りません。大脳半球に存在する側座核という、報酬や快感などに重要な役割を果たしている部位は、活動により活性されます。おっくうさの症状はうつ病では最後に改善されますが、かなり治りかけてきた適切な時期に、何か行動を起してみると、それをやっている間に後からやる気が追いついてくるようになります。
回復してきた時に、ストレッチや散歩など負荷の少ないものから始めます。特にリズミカルな有酸素運動が良いとされています。ガムを噛むという行為もリズム運動のひとつです。
12.入浴をする
入浴をするとその水圧や熱の効果で、血の巡りが良くなり、脳にも十分な量の血液が流れます。また、副交感神経を刺激するため、リラックスする効果も期待できます。また、一度温まった体は、2~3時間かけてゆっくりと体内部の温度が下がって行き、それが眠気を催し、入眠しやすくする効果もあります。
熱すぎる温度は、逆に交感神経を刺激し目を覚ます効果がありますので、朝は熱めのシャワーを浴びる、夜は38度ぐらいのお湯での半身浴が理想的です。入浴剤を入れるとなお効果的です。
うつ病は体も凝り固まっている場合が多くあります。夜に入浴剤をいれてゆっくりとお風呂につかりながら、脳に繋がる首の辺りを優しくマッサージするのは、自分で出来るうつ病の治し方として最適なものと言えます。
しかしうつ病の症状が重い時は、風呂など入らなくていいです。死にはしません。体が逆に疲れきります。入りたい時に入るようにします。どうしてももう限界が来た時は、シャワーでさっと済ませます。
13.朝日を浴びる

ただ、症状の重い時期はふとんをかぶって寝ていればいいです。無理して光を浴びなくて良いです。その気力が出てきた時にやって下さい。
14.周りに頼る
自分が一番苦手な事です。しかしうつ病が治ったのは、妻のサポートも大きいと感じます。妻は私が病気になっても特に何もかわりませんでした。その姿勢が心地よかったのを思い出します。過度に心配されても疲れるし、その逆でも良くないんだと思います。
また、うつの時は活動性がおちて、出来ることが少なくなっているため、必要な時はかわりにやってもらうなど、上手に相手に頼るのも大切だと思います。
ただ、過度に医師に頼りっきりで、医師にうつを治してもらおうという姿勢はあまり良くないと自分は思います。うつ病と向き合うのは自分自身であり、自分でうつ病を治すために病院(医師)を使おうという姿勢が、日々の生活の送り方に変化をもたらし、病気も治る方向に向かっていくように感じます。
15.自殺をしない

こんなことを書くと誤解を招く表現かもしれませんが、死にたいと思う気持ち自体は悪いことではないと思います。人間ですからいろいろな感情があります。それだけ今が苦しいという表れとも言えます。
しかしそれを実行に移すことには問題があります。
その気持ちは症状です。治療により改善していきます。
うつ病を治す方法として、上記の15か条をご紹介しましたが、総合的に見てみると、何もうつ病に限ったものではなく、その他の病気の予防にもなるものと思います。特にうつ病になると免疫力が落ちる為、いつも以上に健康的な生活をする必要があります。